勝間和代「断る力」

自分の読書リストに、この本が混じっていることを公表するのは気恥ずかしい。畑違いの分野の本だし、勝間和代の本を読む人として自分がひとくくりにされるような気がしてしまうから。

「断る力」と「わたしのなかのあなた」を交互に読んでいる。予約人数が40人を超えているので再貸出ができないという意味で「断る力」がいま一番優先したい本になっている。第3章に入る。著者は冒頭で「この本を二時間後に読み終わったら」などと書いているが、とてもそんな時間で読めないと思う。(Twitterのつぶやき)

人は経済活動をしないでは生きることはできない。それなのにどうして、経済書やビジネス分野の言説を異質に感じてしまうのだろう。
本書に出てくるキーワードを、心理でまなんだキーワードや概念に置き換えて読む自分がいる。勝間氏自身が心理学に学んだことをビジネスの言葉に置き換えて語っていることもあるが、心理の世界でどのように使われているかは無関心で書いているのだろうと思う(一般的な言葉の)部分もある。
そもそも、アサーションについても、心理の分野の文献に言及がない。自己評価に始まり自己評価に終わるの部分で言われているアセスメントも、心理アセスメントという言葉が一般的な用語であることに言及がない。すべてがビジネスや経済活動に結びついていて、深入りすることがない。
生き方。氏が示している生き方。心理学の探求が示し、提案する生き方。同じではないのに氏の探求は心理の世界に(心理学書を引用し、心理学の成果を用いた自己評価を薦める上で)近づいていると言える。そのことだけですごいことなのかもしれない。
心理の世界は経済やビジネスに接近するだろうか。その学説を押しつけることなく。キャリア・プランニング?キャリア・コンサルティング?プランド・ハップンスタンスセオリー?
断絶。人は多面体であると思うのに、経済や心理や宗教を区別できないと思うのに、そうなってはいないように見える。いや、そうではない。人は多面体であり、経済や心理や宗教を区別なく扱うことができる。
自分にとどまって、私はその断絶を見つめる。本当は境目なんかないんだ。進め、新しい人のほうへ。天使の呼ぶ声が聞こえる。